塗装屋でのアルバイト

高校生の頃
塗装店でアルバイトをした事がある

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もう50年以上も前
高度成長期の真っただ中の話だ

今思えば
当時はいろんな事が、かなり大らかだった
いや、かなりいい加減だったと言った方が
正しいかもしれない

どこの事業所も忙しく
人手不足だった時代である
猫の手も借りたいほど忙しかったのだろう

研修らしい研修は無く、いきなり現場で
「じゃあ、これ塗っといて」である

最初は驚いたが
塗装という仕事そのものは案外楽しかった

刷毛やローラーで色が乗ると
古かったものが見違えるように美しくなる
仕事をしたという実感もあったし
時給も高校生には悪くなかった

それで、翌年には弟も誘って
一緒に同じ塗装店でアルバイトをした

そんなある日
私は大きな橋の下側を塗る仕事を任された
橋の上ではなく、下側である
川面からは、かなりの高さがあった

だが足場といえば板が一枚渡してあるだけ
そこに立って、片手には塗料の缶
もう一方の手には刷毛を持って塗る

つまり、どこにもつかまれない

命綱も無い。安全帯も無い
今ならまず考えられない状態である

当時は若かった事もあって
怖いと思いながらも何とか作業をしたが
今振り返ると、落ちなくて良かった😅

その日、弟は別の現場で歩道橋の下側を
同じような格好で塗っていたらしい

後で話を聞くと
やはりかなり怖かったと言っていた

今なら安全基準も厳しくなり
命綱もヘルメットも足場も
しっかり整えられるのだろう

そう考えると、昔は随分危ない仕事を
平気でやっていたものだと思う

今、私が住んでる近くには、驚くことに
弟が塗った当時の歩道橋が今も残っている

当然、何度も補修や修理をしてるだろうが
それでも当時の姿のまま、今もそこにある

その歩道橋を見るたびに
「ああ、ここは弟が塗った…」と思い出し
感慨深いものがある