珍味

一時期、いわゆる“珍味”に
妙に心を惹かれ、ハマッていた時期がある

きっかけは、北海道に行った際に口にした

「トドの肉」だ

見た事も聞いた事も無い珍しさに
缶詰を買って帰ったのが始まりである

職場に持って行き「せっかくだから」と
半ば強引に試食会が始まる

以来、その缶詰は何度も取り寄せられ
いろんな人に食べてもらった

やがて、それだけでは飽き足らず
そこから私の珍味探しが始まった

そして…

「ざざ虫」
「オオスズメバチの蜂の子」
「カイコのさなぎ」
「フグの卵巣」

…と広がっていった

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取り寄せては並べ
皆で顔を見合わせながら口に運ぶ

楽しんで頂いたのかどうか判然としないが
少なくとも場は盛り上がっていた…はず

こうして振り返ると、当時の私は
「珍しい物を食べる」(…食べさせる?)
という体験そのものを楽しんでいたのかも

味そのもの以上に、「これを食べるのか」
という軽い緊張や驚きが
ちょっとしたイベントだったのかも

とはいえ、よく考えてみれば
こうした食文化は決して特別な物ではない

私の住む地域でも
「イナゴの佃煮」…(=バッタの佃煮)は
ごく普通にスーパーに並んでいる

外から見れば、驚かれるかもしれないが
こちらにとっては立派な郷土の味である

結局のところ「珍しい食べ物」は
場所が変われば、普通に日常の食卓にある

そう思うと、あの頃の“試食会”も
少しだけ視野を広げるための
ささやかな入り口だったのかもしれない

…のだよ。あの時食べさせられた皆さん