「二兎を追うものは一兎をも得ず」という
あまりにも有名なことわざがある
子どもの頃から何度も聞かされ
「欲張るな」「一つに集中しろ」
という教訓として、すっかり刷り込まれている
だが、私はこれに
どうも素直にうなずけない性分である
むしろ逆で、「二兎を追え」と
ことあるごとに口にしてきた
いや、正確には
「どうにかして二兎とも捕まえろ」
と言いたいのだ
例えば、「安くて良いもの」
などというのは世の常識では矛盾している
良いものは高いし、安いものはそれなり
というのが一般的な理解だろう

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だが私は、「より良いものを、より安く」
と考え始めた瞬間から
頭の中のスイッチが入る
店を何軒も回る。ネットで調べ尽くす
時には一度買いかけてやめる
そうやって、両立しないはずの条件を
なんとか両立させようとする
その過程は、面倒ではあるが妙に楽しい
考えてみれば、「どちらかをあきらめる」
というのは実に簡単である
最初から一方を切り捨ててしまえば
悩む必要も、工夫する必要もない
努力もいらない
だが、「両方ほしい」と思った瞬間から
話は変わる
どうすれば実現できるかを考え
工夫し、時には遠回りもしながら
試行錯誤することになる
頭も体も、普段よりよく働く
つまり、「二兎を追う」という
行為そのものが、自分を少しだけ
鍛えてくれているのではないかと思うのだ
もちろん、全てがうまくいく訳ではない
結局どちらも中途半端
という結果に終わることも当然ある
そういう時はことわざ通りになってしまい
ちょっと悔しいが
それでも私は、懲りずにまた二兎を追う
理由は、うまくいった時の満足感が大きく
それで、どうにもやめられないのである
そして、今日もまた私は
「より高性能でより高級な、より安い物」
を探している
