誕生日のろうそく

ある日、ふと思い出した
しばらく会っていない友人の誕生日だ


「これは祝わねばなるまい」と
私は小さなケーキを一つと
年齢の数だけ、ろうそくを買った

彼は五十五歳
つまり、ろうそくは五十五本である

店員さんは「そんなに立てるの?」
と思っていたに違いない

さて、友人宅に着き
さっそく準備に取りかかる

小さなケーキに、これでもかと
ろうそくを突き立てる

気がつけば
ケーキは完全にろうそくに占拠され
ケーキの姿が見えないくらい

そして、いよいよ点火
一本一本に火を灯していく

五十五の小さな炎が、それぞれに揺れて
最初は実に美しかった

…が、その美しさはほんの一瞬だった

炎たちは、隣と手を取り合うように
次々とくっついていった

「あれ?」と思った時には遅かった
五十五の炎は、ついに一つにまとまり

ゴォーーー!!

数十センチはあろうかという
見事な火柱が渦を巻いて立ち上がった

「おめでとう」より先に
「危ない!」が口をつく

慌てて鎮火
この日の主役は完全に“火柱”であった

私はその時、五十歳
五つ年上のその友人とは
そんな「遊び」をまだ全力でやっていた

あれから年月が流れ
今では何か面白そうな事を思いつくと
妻に相手をしてもらっている
ろうそくは使わないが…