鳥の羽音

山手に住むようになって
初めて気づいたことがある

それは、鳥は「鳴く」だけではなく
「音を立てて飛んでいる」という事実だ

考えてみれば当たり前なのだが
これがなかなかどうして
今までの人生で一度も感じた事が無かった

街中にいた頃は
音といえば車、エアコンの室外機
遠くのサイレンくらい

空はあっても
「音の主役」は常に地上にいたのだろう

ところが山手に来てからというもの
音の主役が時々、空に移動する

例えばカラスなど、大きな鳥は
「ファサッ、ファサッ」と
やけに存在感のある羽音を残していく

初めて間近で聞いた時は
その羽音の大きさに驚いたものだ

今は、鳴き声より、この羽音の方で
カラスを感じる事の方が多い気がする

まるで黒いコートを翻して歩く
どこかの大物俳優のようだ

一方、ムクドリなどの団体様
こちらは遠くの空を飛んでいても
「ワシャワシャ、ワシャワシャ」と
空そのものがざわついているようだ

さらに面白いのは、鳥の大きさや数で
音の質感がまるで違うことだ

大きい鳥は、ゆったりとした音
小さい鳥は、軽やかでせわしない音
そして集団になると、「面」になる

つまり空の上では、静かに見えて
実は結構にぎやかな「音のドラマ」が
展開されているわけである

こうなると、つい耳を澄ませてしまう
姿を見ずに、音だけで
「今のは〇〇」「これは〇〇」と
即席バードウォッチングならぬ
“バードリスニング”が始まる

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うまく当たると少し嬉しいが
誰に褒められる訳でもない

ただ、この発見で一つ分かったことがある
今までも、空は見上げていたが
聞こえなかった…というか気づかなかった

これからも、まだまだ気づく事がある
…かも知れないと、楽しみにしている

こうして私は
空の音にまで興味を持つようになった

人としての感性が豊かになったのか
それとも、ただヒマになったのか

判断に迷うところである