二十代初めの頃の話である
私は、数年後に上場することになる会社に
1年ほど出向していた
今思えば
随分と好き勝手させてもらっていたなぁと
ちょっと反省している
まず、社員旅行。これに誘われた時は
もちろん二つ返事で参加
次に誘われた
真冬の湖に入る「みそぎ」という行事は
「行きません」と、即答
一方で、社内運動会やら何やら
その他の行事はノリよく参加させて頂いた
ただ、歳をとった今になって思うと
「みそぎ」は私の人生でワンチャンス
貴重な経験を棒に振ってしまったと思う
さて、その社員旅行の夜のことである
夕食後、宴もたけなわ
始まったのは、マージャン大会

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しかも、相手は本社の面々
つまり、そうそうたる顔ぶれである
数十人規模の、なかなか本格的な大会だ
そんな中、私はというと
いつもの調子で普通に打っていた
すると、背後から声がする
「それは、こっちじゃないの?」
振り返りもせずに、私は答える
「何言ってるの、こっちだよ」
今思えば、この時点で
かなり危険な匂いがする
しかし当時の私は
そんなこと露ほども思っていない
数手進んだところで
ふと気になって後ろを振り返ると…
そこにいたのは、何と、その会社の社長
「ひぇー」
私は、声にならない声をあげた
しかし社長は、特に気にする様子もなく
ただ静かにその場を離れていった
いや、あれは気にしていなかったのか
それとも「若いのう」と思われていたのか
真相は分からない
ただ一つ確かなのは、
あの頃の私は、無敵だったということだ
