手抜き

若い頃私は、何かを手作りする時

「どうしたらもっと丈夫にできるか」
「どうしたらもっと美しく仕上がるか」

そんな事を第一に考えて
手間や時間を惜しまず造っていた

ところが、仕事を引退してから
時間はいくらでもある。あるはずなのに…

「どうしたらもっと簡単に出来るか」
「どうしたらもっと楽に済むか」

つまり「どれだけ手抜き出来るか」という
新たなテーマが加わった

これが実に厄介である

若い頃は、良くする事しか考えてなかった
だから判断は簡単だった

今は、「楽に簡単に」という欲望と
「ちゃんと作りたい」というプライドが
頭の中で小競り合いを始める

切断の工程は減らすか、無くせないか
この部分は省略できないか
でも強度は大丈夫か

…と、作る前が、やたらと長い
それで、なかなか始められないが
良い方法を思いついたとたん作業が始まる

だが、困ったことに、体は若い頃とは違う

「これくらい大丈夫だろう」と
軽く考えて持ち上げた材料で、腰を痛め

「このくらい平気だろう」と
油断して使った道具で、血を見る

若い頃は、なかなか怪我はしなかったのに
今は、無理をしないように段どっても
ちょっとした事で怪我をしてしまう

なので、近年は
完成させた喜びも、もちろん大きいが

「今回は怪我なく出来た」
という安堵感の方が
勝っているような気がするのである