諸悪の根源

「金は天下の回りもの」と言うが
回っているのはお金だけではない
世の中の揉め事も、実によく回っている

ご近所のちょっとしたいざこざから
会社同士の争い、国同士の戦争まで
突き詰めれば、たいてい
その奥にはお金が見え隠れしている

土地の境界でもめるのも
相続でもめるのも、お金

会社がライバルを蹴落とすのも、お金
政治家が熱心に動くのも、だいたいお金

戦争ですら「正義のため」と言いながら
資源だの利権だのお金の匂いがぷんぷんだ

この世の諸悪の根源は何かと聞かれたら
私はかなりの確率で「お金」と答える

もちろん、お金そのものに罪はない
少々のお金に目の色を変える人はいないが

一万円札が百枚、千枚と増えてくると
人の理性や良心まで吸い取っていく

普段は穏やかな人が、相続や遺産の事で
別人のようになったりもする

だからといって
「では、お金を無くしましょう」
と言われても、それはそれで困る

「今日は畑の草むしりを三時間やったので
代わりに卵二個と大根二本を下さい」

「家で採れた白菜と肉を交換して下さい」

そんな物々交換の世界は
もう、想像すら出来なくなっている

結局、人類は、お金によって便利になり
お金によって発展し
お金によって争ってきたのだろう

お金と人類の進歩は
車の両輪のようなものなのかもしれない

ただし、その車は、ときどき暴走する

しかも困った事に
ハンドルを握っているのは、人間である