街に住んでいた頃
空は「見上げるもの」だった
ところが山手に住むようになってから
空は「眺めるもの」に変わった
いや、むしろ「観察するもの」
と言った方が近いかもしれない
どれも正面の方にも見る事が出来る
街並みや、向こうに連なる山々
ゆっくり形を変えていく雲
時折現れては消える鳥たち
どれもこれも、見ていて飽きない
テレビより、よほどチャンネルが多い
そんな中で最近“発見”した事がある
“飛行機の航路”である
ある日、空を見ていて気づいた
「あ!昨日もあの辺りを飛行機が通った」
次の日も、その次の日も見ているうちに
だんだん確信に変わっていく
南へ向かう飛行機は
決まってこちら側の空のあのラインを通る
北へ向かう飛行機は
あちら側の空の、あのラインだ
「上り」と「下り」があるのだ、空にも
考えてみれば当たり前の話で
無秩序に飛んでいるわけはない
だが、それを“自分の目で発見した”
というところに、妙な喜びがある
いつものように空を見ている中で
気づけば“空のルール”を見つけて
ひとりで悦にいっている
誰かに話せば
「へえ、そうなんだ」で終わる程度の話
山手に住むようになってから
こんな、何の役にも立たないような発見が
心をちょっと豊かにしてくれる事がある
まあ、ただの暇人の戯言ですが…

