健康診断

私は昔から、世間の常識というものに
どうも素直に頷けない性分である

皆が「これは絶対にやった方がいい」
と言えば言うほど、「本当にそうか?」と
つい逆の事を考えてしまう

たとえば健康診断である

世間では「定期的に受けましょう」
「早期発見が大事です」と盛んに言われる

だが、あまのじゃくな私は思う

健康診断など、受けるから
病気になるのではないか

もちろん健康診断が病気を作ることはない
だが受けた途端に、今まで元気だった人が
急に「血圧が高い」「血糖値が高め」
「肝臓の数値が少し悪い」などと言われ
病人のような顔つきになったりする

健康診断というのは
言ってみれば「体のあら捜し大会」である

こちらは元気な気分で行ったのに
帰る頃には
どこか悪い人のような気持ちにさせられる

しかも、健康診断では
良い所はほとんど褒めてくれない

「肺は素晴らしいですね」
「骨密度も若者並みです」
「内臓の状態も実にいい」

そんなふうに、良い所を並べて
気分よく帰してくれる事はまず無い

せいぜい「特に異常ありません」くらいだ

なら、わざわざ朝から何も食べずに出かけ
血を抜かれ、レントゲンを撮り、胃を検査
そして、不安だけ持ち帰る必要があるのか

私は、仕事を引退してから10年以上
市から届く健康診断の案内は
無視し続けている

受けた方がいいという人の言い分は分かる
早めに病気が見つかれば助かる事も多い

そんなだから、私はもし何か出てきても
もちろん悪あがきは、しないつもりだ

長年使ってきた体なのだから
どこか調子が悪くなるのは当然である

私は今年も健康診断の案内を横目で見つつ
「知らぬが仏」という都合の良い言葉と
妻と猫と、のんびり暮らしている