社長といえば
当然、会社の最高責任者である
社員の生活はもちろん
その家族の暮らしまで背負ってると思うと
なかなか気軽な気持ちにはなれない
小さな会社とはいえ
私が社長をしていた頃も
何か問題が起きれば
最後は必ず私のところへ話が回ってきた
幸い、私よりはるかに優秀な相棒がいた
大抵の事は、その相棒が片付けてくれる
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だから私は「社長」といっても
割とお気楽な部分もあった
ところがである
その相棒が「これはもう無理です」
と言って持ってくる案件が
当然、なかなかの曲者ばかりだった
取引先との揉め事、社員同士のトラブル
どうにも収拾がつかない問題ばかりだ
中でも一番気が重かったのは
社員に辞めて頂かなければならない時だ
小さな会社では当然、それは社長の仕事だ
文書を作り、本人に説明し
頭を下げながら辞めて頂く
こちらにも、言い分や事情はあるが
相手にも生活がある
場合によっては逆恨みされるかもしれない
「後で何かされたらどうしよう」と
内心ビクビクした事もある
幸い、危惧した事は一度も無かったが
社長業の重責や、憎まれ役を思うと
なるべく早く引退したいものだと思った
相棒と話をした時
彼も、日々いろんな問題への対処などで
かなり疲れがたまっていたようで
とても秀悦な言葉が返ってきた
「懲役5年の刑を受けたと思って
あと5年頑張りましょう」
本当にうまい事を言うものである
私はその言葉で
何とか引退まで頑張れたのだと思う

