今年も、藤の花が見事に咲いた
下を通るだけで、甘い香りがふわりと漂い
鼻いっぱいに広がる
花そのものも見事だが
あの香りを嗅ぐのも楽しみの一つだ

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そして、その香りに誘われるのは
人間だけではない
熊蜂たちも、欠かさずやってくる
何匹もの熊蜂が
藤の花の周りを忙しそうに飛び回り
花から花へと移動しては、蜜を集めている
その様子を縁側からぼんやり眺めていた時
ある事に気づいた
どうやら、熊蜂の中には
「見張り役」がいるらしい
藤の花から少し離れた場所で
一匹がずっとホバーリングしている
他の虫が近づいてくると
サッと飛んで行って追い払う
そしてまた、元の位置に戻る
ほかの熊蜂たちが蜜を集めている間
それをずっと続けているのである
当初は、一匹だけだった
だが近年、その見張り役が三匹に増えた
それぞれが少し離れた場所を受け持ち
ホバーリングしている
もしかすると、三つのグループが
縄張りを分けているのかもしれない
本当のところは分からないが
そんな事を想像しながら眺めていると
時間が過ぎるのを忘れる
縁側に腰を下ろし
酒をちびちび飲みながら
藤棚の周りを飛び回る熊蜂たちを見ている
それが、私の春の恒例行事であり
しみじみ幸せを感じるひとときでもある
だが、熊蜂からすれば私は縄張りの近くで
いつも酒を飲みながら見てる怪しい存在だ
案外、私専門の見張り役がいたりして…
