猫からの最初のおたより
🐾こんにちは
ここにいる猫です
前は、ここじゃない場所にいました
水が流れて、足がつかなくて
どうしたらいいかわからない場所です
鳴いても
誰も来ないと思っていました
でも、来ました
あなたじゃないけど
あなたにつながる人が
その人の手、
何度も何度もぼくの方へ
差し出されました
ぼくは、けっこう覚えています
助けられたあと
ぼくは特別なことはしていません
恩返しの方法も、よく知りません
ただ、ここにいました
日なたで丸くなって
通る人を見て
風の匂いを嗅いでいました
それだけです

でも、不思議なことに
ここに来た人たちは
大きく転ばなくなりました
うまくいく日も
そうでもない日もあるけれど
🐾「ちゃんと帰れている」
🐾「ちゃんと暮らせている」
そんな感じが続いています
たぶんそれは
助けたからでも
祈ったからでもなくて
「命を気にかけた時間」が
ここに残っているからです
あなたがここに来たのも
きっと、理由はありません
ただ、なんとなく目に止まったとか
少し疲れたとか
そんな程度で、十分です
この神社は
強く願う人より
立ち止まれる人に向いています
今日
無事にここまで来られたこと
この文章を読めていること
息をしていること
それだけで
もう一つ、守られています
ぼくは
何も約束しません
ただ
また堰に落ちそうなとき
誰かの手を思い出せるように
ここにいます
帰るときは
足元を見てください
水は流れていても
ちゃんと、立てる場所があります
それじゃあ、また
呼ばれなくても、ここにいます
🐾しっぽは
たまに振ります